【サッカー観戦の楽しみ方】No.33 小さな意識の違いから大きなゴールが生まれる

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Jリーグも10節が終わり、勝ち点差が広がってきました。

昨年王者の川崎フロンターレや、名古屋グランパスは好調をキープしています。

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2年目の金子選手を擁するコンサドーレ札幌や、スーパー高校生の中野選手を擁するサガン鳥栖も好試合が多く、目が離せません。

 

そんななか、今回は第11節から注目プレーを取り上げていきたいと思います。

 

☆今週のピックアッププレー☆

横浜FM vs 横浜FC

マルコス ジュニオール選手のコーナーキックからオナイウ 阿道の3得点目〔2:10〕

 

今回は横浜FCに5-0で大勝した横浜FMの3点目に注目しました。

 

右サイドからマルコス ジュニオール選手の右足で蹴られたコーナーキックです。ゴールから遠ざかっていくボールなのでキーパーはキャッチするために出ていくのが難しくなります。

 

横浜FMの選手からすると自分に向かってくる回転のボールになるので、振りかぶることなくタイミングを合わせるだけで勢いのあるシュートを放つことができます。

 

ヘディングで合わせたオナイウ 阿道選手はボールを地面に叩きつけていて、キーパーは反応するのが難しくなっています。

まさにお手本のようなヘディングシュートです。

 

キーパーはうまく反応して見事なセーブを見せましたが、こぼれ球をエウベル選手に拾われ、そこからオナイウ 阿道選手に押し込まれてゴールを許しています。

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今回のゴールの注目ポイントはズバリ『こぼれ球への反応』です。

 

こぼれ球に反応している選手を数えてみると、横浜FCの選手が1人なのに対して横浜FMの選手は3人もゴール前に詰めています。

 

ボールがこぼれてくる可能性はそこまで高くありませんが、万が一を信じて詰めているという素晴らしいプレーです。

 

ボールが蹴られたり、シュートが放たれたりすると選手はボールを目で追って足が止まりがちです。

 

横浜FMの選手が3人もゴール前に詰めていたということは、高い意識を持ってトレーニングしている証拠でもあると思います。

 

今回のゴールは、日々のトレーニングの質の高さを感じされるプレーでもありました。

【サッカー観戦の楽しみ方】No.32 コーナーキックからたまたまゴールは生まれない

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3月末から4月にかけて、待ちに待った日本代表戦が開催されています。

実に1年以上ぶりの国際マッチということで、A代表とU24代表ともにどんなメンバーが選出されるか楽しみでした。

 

コロナの影響等で海外組から召集されない選手もいて少し残念ですが、国内組から初召集されているメンバーもいました。

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U24日本代表はU24アルゼンチン代表と3/26、3/29の中2日で2連戦。

1勝1敗という結果でした。

 

南米王者で東京オリンピック優勝候補と対等以上に渡り合っていたと思います。

攻撃陣はタレント揃い。

三苫選手、久保選手、三好選手。

相手はどこから攻められても脅威ですね。

 

U24アルゼンチン戦の2戦目は3-0で勝利しました。

そのうち2得点はコーナーキックからDF板倉選手のヘディングでのゴールでした。

 

拮抗した試合ほどコーナーキックフリーキックなどのセットプレーが重要になってきます。

 

今回はコーナーキックについて触れていきたいと思います。

 

☆今週のピックアッププレー☆

【U24日本代表 vs U24アルゼンチン代表】

久保選手のコーナーキックから板倉選手のヘディングによる2得点

 

板倉選手のゴールは2得点とも久保選手のコーナーキックからでした。

どちらも左サイドからのコーナーキック

それを久保選手が左足で蹴っていました。

 

左サイドのコーナーから左足でゴールに向かってボールを蹴ると、左回転がかかるのでボールはゴールから逃げていく軌道になります。

 

シュートを打つ選手はゴールに身体が向いているので、ボールが自分の方に向かってくる感覚です。

 

タイミングを合わせることができれば、ボールの勢いを生かして力強いシュートを打つことができます。

 

勢いをつけて振りかぶる必要がないので、コントロールを重視した正確なシュートになる可能性が高くなります。

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逆に、左サイドのコーナーから右足で蹴られたボールは右回転でゴールに向かっていく軌道になります。

 

勢いのあるボールがゴールに向かっているので、攻撃する選手が少しでもボールに触れて軌道を変えることができればゴールにつながります。

 

選手たちは、キッカーやシュートを打つ選手、相手DFなどを考慮して、どういったコーナーキックにするのがベストかを考えていきます。

 

今回の試合では、日本代表の作戦がピタリとかみ合い、すばらしい2得点が生まれました。

東京オリンピック本戦にも期待です。

【サッカー観戦の楽しみ方】No.31 実は難しい、技術が詰まったミドルシュート

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J1リーグは週末と水曜日の週2開催。

さらにシーズン途中からアジアクラブNo.1を決めるAFCチャンピオンズリーグが始まります。

各チーム過密スケジュールになること間違いなしの中で、勝利を勝ち取るために全メンバー総力戦で試合に挑んでいます。

 

シーズン5節が終わり、各チームの補強の成果が見えてくるころだと思います。

順位変動に注目です。

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そんな中、第5節でもビックプレーが生まれました。

一目ですごいとわかるプレーですが、技術的にどうすごいのかを取り上げていきたいと思います。

 

☆今週のピックアッププレー☆

セレッソ大阪 vs 大分トリニータ

試合終盤、試合を決めるセレッソ大阪 坂元選手の得点

 

前回に引き続き今回もセレッソ大阪戦からのピックアップになりました。

tasim.hatenablog.com

 

得点を決めた坂元選手は、3/25の国際親善試合vs.韓国戦、3/30のワールドカップアジア2次予選vs.モンゴル戦の日本代表メンバーに初選出されています。

 

坂元選手はドリブルを得意としています。特に、切れ味の鋭い切り返しは予想ができていても止めることができません。

 

そんな彼の利き足である左足から放たれたミドルシュートは見事としか言いようがありません。

 

相手選手のクリアボールをショートバウンドできれいにミートしています。

クリアボールで自分に向かってきているボールなので、うまくミートすることができればボールに勢いをつけることができるのですが、これが難しいです。

 

まず、シュートのタイミングとボールのバウンドを合わせる必要があります。

坂元選手はタイミングを合わせやすいショートバウンドでボールを捕らえるために、前に踏み込み体勢を少し前傾にすることでこのポイントをカバーしています。

 

そして、ミドルシュートというのはボールが浮いてしまいゴールの上に飛んでいくことが多いです。

これは、シュートを打つときに身体が開いたり、身体が上を向いてしまうことが原因です。

 

坂元選手はシュートを打つ瞬間にしっかりと身体をかぶせています。

そうすることで、ボールは浮き過ぎないようにコントロールされ、狙い通りにゴール枠内に飛んでいます。

 

足を振りすぎないで力が抜けたシュートは見ていてとても気持ちがいいです。

ボールの回転や軌道もとてもきれいです。

 

得点につながる確率が低いミドルシュートですが、その分ゴールにつながるシーンは見ごたえ十分です。

ぜひ技術が詰まったミドルシュートに注目してみてください。

【サッカー観戦の楽しみ方】No.30 決定機を演出する戦力『声』のちから

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2月26日にJ1リーグが開幕し、3月6日に第2節が行われました。

セレッソ大阪の西尾選手やコンサドーレ札幌の菅野選手が顔面ブロックを見せるなど、気迫溢れるプレーが連発していました。

 

見ごたえ十分。Jリーグは面白いです。

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セレッソ大阪の大久保選手は自身初の開幕3連発4得点で絶好調。

衰えるどころか、得点感覚が研ぎ澄まされています。

得点後に若いチームメイトと笑顔を見せながら抱き合っているシーンをみると、

チームの雰囲気の良さがうかがえます。

 

今回は、週末土曜日に行われたJ1リーグ第2節から注目プレーを紹介したいと思います。

 

☆今週のピックアッププレー☆

FC東京 vs セレッソ大阪】 原川力選手の2得点目 〔3:58〕

 

セレッソ大阪の2得点目は原川選手と清武選手の連携から生まれています。

右サイドから大久保選手がマイナス方向へグランダーのクロスを上げて、そのボールに清武選手が反応しています。

 

清武選手はボールに触れることなく『スルー』のプレーを選択し、後ろから走りこんできた原川選手がダイレクトでゴール左隅にシュートを打ち、ゴールを奪っています。

 

この一連のプレーで注目すべきは、ゴールにつながった『スルー』というプレーです。

 

スルーがうまく機能する状況は、最初にボールを受ける選手の背後にスルーしたボールを受ける選手がいるときです。

 

しかし、このような状況では最初にボールを受ける選手は背後に味方選手がいることになるので、その存在を確認することが難しくなります。

 

さらに、選手間の連携が上手くいかないと、スルーしたボールを易々と相手に奪われる可能性も高いです。

 

そこで連携を深めるのに大事になるのが『声』です。

スルーのプレーが生まれるときには必ず後ろの選手が大きな声で「スルー」と指示を出しています。

 

最初にボールを受ける選手は、この一声で背後に選手が走りこんできているということを認識します。

 

相手ディフェンスにスルーのプレーがバレてしまいそうですが、プレーを選択するのは最初にボールを受ける選手です。

 

スルーするのか、自分でシュートまで持っていくのか、プレーの選択肢が増えることになるので相手DFは簡単に守ることが難しくなります。

 

サッカーにおいて『声』は大きな戦力になります。

名前を呼んだり、チームを鼓舞したり、いろいろと使い方がありますが、

今回のような決定的なプレーを演出する使い方もあります。

 

コロナの影響でサポーターの応援の音も通常と比べればそこまで大きくないので、

耳を澄まして観戦してみるのも面白いかと思います。

【サッカー観戦の楽しみ方】No.29 審判の采配が及ぼす影響

 

FUJI XEROX SUPER CUP 2021(富士ゼロックススーパーカップ)が2/20に開催されました。

昨年のJリーグ1位の川崎フロンターレと2位のガンバ大阪の対戦となりました。

結果は川崎フロンターレが勝利。昨年の勢いそのままで見事な試合運びだったと思います。

>>結果はこちら【公式】FUJI XEROX SUPER CUP 2021

 

名古屋グランパスから移籍したシミッチ選手は昨年出場機会が少なかったですが、川崎で先発を果たし、中村選手や守田選手の抜けた穴を埋めれていました。

これからが楽しみです。

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激しい打ち合いとなりましたが、試合が荒れることもなく観ていて楽しいゲームでした。

今回はそんな試合の流れを左右する審判のレフリングについて触れていきたいと思います。

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その年最初の大会で選手がチェックしているポイント

FUJI XEROX SUPER CUPはその年で一番最初に開催される公式戦です。

前年度のリーグ戦とカップ戦の王者が対戦します。

 

リーグ戦に向けてトップチームの仕上がりを確認する試合でもあります。

オフシーズンにしっかりと身体が作れているか、選手が入れ替わった中で戦術ができあがっているかなど、注目ポイントがたくさんあります。

 

試合観戦する側はこのあたりが気になりますが、選手目線では違うポイントを確認しています。

 

それは「審判のレフリング」です。

 

審判がファールを取る基準というのは毎シーズン違います。

研修などを通してそのシーズンの基準というのを定めています。

 

そのシーズンの判定基準というのは試合が始まり、プレーしてみるまで分かりません。

選手はファールになる基準を確認して、相手へのプレッシャーの強度を図っています。

 

FUJI XEROX SUPER CUPで戦ったチームはいち早く判定基準を把握することができるので、少し優位な立場でリーグ戦に挑むことができます。

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審判が選手をレベルアップさせる

今回の試合では、審判は激しいプレーでも過度にファールを取らずそのままプレーを続行している印象がありました。

 

海外試合では、激しいプレーの連続です。ケガで離脱する選手も少なくありません。

日本選手がレベルアップしていくためには、激しいプレーに対応していくことが必要です。

今回の采配のように、日本国内のレフリングの基準を海外に合わせていくことで、国際大会でも戦えるメンタリティが培われていくと思います。

 

最後に。。。

今年の川崎フロンターレも期待できそうです。

いきなり2得点の三苫選手。今シーズンが楽しみです。

【サッカー観戦の楽しみ方】No.28 試合前にグランドに水をまく理由

昨シーズンぶっちぎりで優勝した川崎フロンターレですが、ACLとリーグ戦の過密スケジュールを見据えてしっかりと補強しています。

 

中盤では中村憲剛選手と守田英正選手が抜けましたが、名古屋グランパスからシミッチ選手を補強しています。

 

個人的に来シーズン注目している小塚和季選手も新たに加わりました。

大島選手、田中選手、脇坂選手がいるなかポジション争いが激戦ですが、どんなプレーを見せてくれるのか楽しみです。

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今回は、ホームでの戦いが有利になる理由について解説してきたいと思います。

 

 

ホーム&アウェー

Jリーグは総当たり戦で、相手1チームに対してホームとアウェーの2試合を消化します。

2020シーズンはJ1に18チームの枠があったので各チーム年間34試合、ホーム戦とアウェー戦それぞれ17試合ずつを戦ったことになります。

 

サポーターの応援

まず、ホーム戦はサポーターの数が違います。

一般的にビジター席(アウェーチームのサポーター席)は、片方のゴール裏席しか割り当てられていません。

そのほかのほとんどがホームチームのサポーターで埋め尽くされます。

 

これだけの数の差があると声援の大きさが段違いです。プレーしている選手のモチベーションもあがります。

 

ゴールが決まったときの演出にも違いがあることが多いです。アウェーチームの場合だと、あっさりと「ゴール」というアナウンスが流れるだけの場合もあります。

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ピッチコンディションが勝敗を分ける

ホームチームはホームグラントに慣れているということがとても大きいです。

芝の長さ、風向き、コートの大きさなど各チームのスタジアムで色があります。

 

特にホームチームが有利になる要因のひとつが、芝の「水分量」です。

 

試合前にスプリンクラーでシュッシュッと音を立てながら水をまいているのを見たことがあるかと思いますが、あれは芝の水分量を調整しているのです。

 

芝の水分量が多いとボールとの摩擦が少なくなるので、ボールが滑るようによく転がります。パスをポンポン回すのが得意なチームや、試合運びのテンポが速いチームに有利に働きます。

 

逆に水分量が少ないとボールとの摩擦が大きくなるので、ボールがとまりやすくなります。ロングボールを多用するチームなどに有利に働きます。

 

特に技術力が高いチームほど、たくさん水をまいている印象です。

 

最後に。。。

ホーム戦はなんとしても勝ちたい試合です。

各チームがスポーツマンシップに則る範囲で工夫しています。

あちこち目を凝らすとスタジアムの特徴も見えてきます。試合観戦の楽しみの一つにしてみてはいかがでしょうか。

【サッカー観戦の楽しみ方】No.27 シュート数よりも気にしたい注目データ

 

最近は「データサッカー」と言われるように、試合データの活用の仕方が勝敗を左右するようになりました。

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高校サッカー勝戦で山梨学園の監督が耳にイヤホンをつけ、コーチから情報を聞いていたシーンは印象的です。

 

よく見るデータといえば、シュート数やコーナーキック数、フリーキック数などですが、それ以外にも細かいデータがたくさんあります。

 

最近ではプレーヤー個人のデータを取る技術が急速に発展しています。

ダッシュした回数(スプリント数)、プレーエリアの分布、ボールタッチ回数などなど。

あげるとキリがありません。

 

その中でも特に注目したいデータがあります。

それが、各選手の『走行距離』です。

 

そこで今回は、ポジション別に走行距離に注目したい理由を説明していきたいと思います。

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走行距離に注目するポジション別理由

フォワード FW

FWはドリブルやシュートを打っていてボールを保持している時間が長い印象があるかも知れませんが、意外にその時間は長くありません。

 

ボールに触れていない時間に何をしているかというと、「フリーランニング」をしています。

 

攻撃をしているときは、ポジションを変えてマークを外したり、スペースを作る動きなどをして、味方からパスをもらうために常に動いています。

 

守備のときは、ゴール近くでボールを回している相手に先陣を切ってプレッシャーをかけにいきます。

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ミッドフィルダー MF

MFはチームの心臓と言われるほど、ずっと動き続ける走力が必要です。

 

攻撃のときは味方からのパスを受けるために縦横無尽に走り回ります。

MFがボールを触る回数が多いほど攻撃のリズムが生まれ、攻撃に勢いがつくとも言われます。

 

守備のときはピンチになる前に相手攻撃の芽を摘むのが大事な仕事です。

相手のパスコースを読んで先回りしたり、パスが出たところにすぐにプレッシャーをかけにいきます。

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ディフェンス DF

DFの走行距離は相手の攻撃が多いほど長くなります。

相手FWに自由にプレーさせないようにしっかりとマークして動きについていきます。

 

攻撃しているときのDFの仕事はラインコントロールです。

試合の流れに合わせてポジショニングを常に調整しています。

ラインを上げてオフサイドを狙ったり、ラインを下げてロングボールに備えたり、動きをとめません。

 

最後に。。。

走行距離はあまり目にしないデータですが、その試合の流れが反映されています。

能力が高い選手ほど走行距離が長くなるといっても過言ではないでしょう。

 

テレビなどでは見る機会が少ないデータかもしれませんが、たまにググってみると面白いかもしれません。